全ての始まり




 少女は砂漠を必死に進む。
追跡者は屈強な蛮族。
逃げる逃げる、走る走る。
ただひたすらに生を渇望して。



Chapter0 始まりの手前

BF00 ニルルド砂漠北部




 ニルルド砂漠北部を走る少女が独り。
荷物は無く、顔は恐怖で強張っている。
この一帯を蹂躙している蛮族だろうか、数名の屈強な男が彼女を追いかけていた。
 砂漠の暑さと足場の不安定さに慣れない少女は、次第に追いつかれて後ろを振り返る。
不安が現実になりかける・・・蛮族が彼女目掛けて斧をを振り上げた。

「砂漠の番人ラーサの言の葉、大いなる砂の海を見守る番人よ・・・狂風を呼びて我らの敵を討て」

 言の葉が聴こえ、砂塵が吹き荒れる。
瞬間、鬨の声を上げて兵士達が蛮族討伐に掛かり始めた。
・・・その肩に王国の紋章を掲げ。


「大丈夫?」
魔術を発動させた青年が、少女へ問いかける。
怯えていた少女は、安堵と悲しみの涙を流す。
「・・・誰か亡くしたのか」
少女は無言で泣き続ける。
「なら、一緒にくるかい?」
その言葉に彼女はようやく顔を上げた。


「俺はレシュテ、キミ・・・名前は?」

「・・・チェレスタ」


―5 years later.


 ガイアナイトであった義兄に憧れ、国を守る兵士となった。
第四まで存在する、王国騎士団に所属する兵士。

それが今の彼女の姿。